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  「日・米・独の企業経営比較による
         日本の製造業の経営力強化ポイント」
 

       第5章 今後の日本の製造業の経営力強化ポイント
代表取締役社長 中田 耕治


5.社会との共生とグローバル化への積極的対応(2)


ところで、グローバル化で加速する富の基本的な現象を整理すると、
@資本は最も利回りの良い所へ流れる、
A富める人々は税金の最も低いところ移住する、
B世界の貧しい人々は仕事があり社会福祉体制が整っている国に移住する、ことである。
この富の移動を伴うグローバル化は、世界を統合しつつ一方で分断する。富の移動と平準化が進行しながら、富める国はますます富み、貧しい国はますます貧しくなる。放っておけば現実にはそういう複合的な経過をたどる。
このようなダイナミックで多くの矛盾を秘めた資本主義の世界の中で、戦略性のない海外進出は相手国と提携関係を結んでもいずれ破たんする。現在の提携関係は、世界を一つのネットワーク網と見なし、世界展開が読める会社にだけ許された生き残り策なのである。注26)
1980年代には日本の製造業に押されていたアメリカの製造業は、1990年代になって競争力を取り戻している。自動車、パソコン、半導体などの復活など、アメリカ製造業の復活の理由は集約するとグローバル化といえよう。ひとつはリエンジニアリングに見られる徹底した情報化である。
グローバルな市場情報の収集から、技術や製品の開発、マーケティングサービスまでを含んだ統一された社内情報網の確立である。
さらに経営資源の集中化で、人材、技術、設備や資金などの経営資源を会社のコア資源に集中し、外部から調達できる資源は他社に任せるわけである。
つまり技術や高級品の製造などコアとなる経営資源をアメリカ国内に残し、あとは外部調達するわけだが、コアになる経営資源がマーケティングと製品開発であれば、製造すべて海外に任せる例もある。
1991年12月7日、オランダのマーストリヒトで開かれたEC首脳会談で新しいヨーロッパ共同体を実現させるための条約が結ばれた。これが、今の欧州連合(EU)の始まりとなったマーストリヒト条約で、ヨーロッパの外交・ 安全保障、経済通・貨統合、通行の自由など、ヨーロッパの市民がまるで一つの国に住んでいるような状態にするのが最終の欧州統合計画の目標なのである。
現在多くの問題を抱えながらも、欧州統一は着々と進んいる。これはドイツや欧州の人々は、ひとつのことをじっくり考え抜き温め続けているからこそ、グローバルで壮大な歴史的事業も実現する。
社会との共生とグローバル化については、日本が今後最大限の努力を要するものであり、21世紀に豊かな国として繁栄を続けられるかの一大要因と思われる。

注26)  山本武信、前掲書、246ページ

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